夜の図書館

その後

三回ほど
また夕食のメニューを聞かれるたびに
丁寧に答えるけれど
会話が途絶える。

そんな時はポケットからキャラメルと取り出すと、義母さんの顔がぱぁーっと明るくなる。

本当は缶ビールでも差し出してやりたいけど
キャラメルで我慢。

意識が私よりキャラメルに移行したので
私は義母さんに背中を向けて帰る準備、

「今日は何を食べるの?」

背中越しに聞かれ

「ビーフストロガノフとアンチョビのサラダとクラッカーにキャビアをのせたやつ」

そう言い残し部屋を出た。


キャビアの味もわからない私なのにね。



< 20 / 73 >

この作品をシェア

pagetop