夜の図書館

そもそも
病院の何科に行けばいいのだろう

貴ちゃんはどこに行ったのだろう
性病科ってあるのかな。

でも貴ちゃんと同じ病院は
なんとなく嫌だ。

パート先で
いつもの人生の先輩達に聞いてみると

ふたりの顔が凍りつき……呆れられた。

「婦人科かな」

しばらく時間をかけた後
占い師のように美奈子さんが言い
幸代さんはうなずく。

「宮ちゃんより長く生きていて、人生経験もあるけれど……そっちの知識は足りなくて、アドバイスできない」

眼鏡を拭き直し
美奈子さんは苦笑い
幸代さんはずーっと面白くない顔をして、アメちゃんをガリガリ食べている。

婦人科かぁ。

「明日行ってくるので、休みます」

頭をペコリと下げると

四角くていかつい顔した幸代さんが、怒られた後の子供のような顔をして、ふてくされていたのが印象的だった。

美奈子さんはただ微笑む。

全く似てない2人の顔が

重なって

同じ顔になった。


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