夜の図書館


婦人科と産婦人科は
兼ね備えているのが普通なのだろうか。

どこでもいいと思い
駅の近くにある
婦人科に飛び込んだ。

ベージュの壁紙に
所々、花のイラストが添えてある。
鮮やかな彩りにしようとして、しっかり失敗しました……そんな毒々しい色の花達が出迎えるロビー。

格調高いクラッシック音楽
赤ちゃん雑誌を読むセレブな奥様。
走り回る子供を注意もせず
優雅に会話する妊婦達。

違和感

妊婦がいっぱい。

幸せオーラに包まれた
ゆったり
まったり妊婦がいっぱい。

幸せは人間を増長させる。

『あら新人さん?こちらへいらっしゃる?初めて?』
そんな目線で迎えられ
心地悪さMAXになりながら雑誌に手をやろうとすると

ジャンプもモーニングも文春もなく【名づけ辞典】やら【幸せなママになる】とか……そんなんばっかりで思わず手を引っ込める。

足元で子供が騒いでた。
ワケのわからん動きをして、私のエリアに侵入し小さな足を私にのせる。

母親らしき人が
チラリとこちらを見て
にっこり微笑む。

『うちの子可愛いでしょう。あなたも子供が生まれたらこんな感じよ』
って言われてる気がして

隙を見て
子供の頭を軽く殴る。

出る釘は打っておこう。

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