夜の図書館


いつも帰りが早い貴ちゃんなのに、今日に限って遅かった。

見えているのか
この嫌な空気が。

壁の時計をチラ見
午後6時30分

どうしたんだろ
まっすぐパチンコ行ったかな
それとも
誰か誘って飲みに行った?

綾子からの電話がきっと私の方へ行ったと知り、私に何か言われるのが嫌で帰って来たくないのかな。

貴ちゃんは逃げてばかりだ
逃げるのは楽だ。

見ていて嫌になるのは
自分も同じだからだと思う。

私も
何だかんだで
逃げてばっかりだもん。

今日の私の頭はクリア
やくみつるに勝てる。
いや言いすぎか

性病の薬を飲まなければいけないので、先にご飯を適当に食べ薬を手にのせる。

白い錠剤が
のび太君の白衣と被った。

一気に口に入れ
水を飲み
ふとカレンダーに目をやる

今日は……
あれ?今日って

何曜日だっけ?

ぐるぐるぐるぐる
頭が回る。

立ちくらみだ
地球が半分回ってる
ホラー映画のように
自分の頭が半分回っているみたい。

ぐらーりぐらり

膝から崩れて
その場に崩れる。

あぁ
全然クリアじゃないし

やくみつるの祟りだ。
いや
綾子の祟りか?

だって
しょうがないじゃないかー
えなりの祟りだ。

今日はとっても疲れたんだもん。

床に突っ伏し
涙の水たまりを作る。



< 54 / 73 >

この作品をシェア

pagetop