眠り姫の唇


「だからお前もそれぐらいの選べばいいじゃんって言ったら激怒して俺んち出て行ったんだよ。

衣装だけで100万も出せるかって。

作ったらもっとするのもあるのになぁ。

だいたい女の方がもっとあれしたいこれしたいとか言うもんなんじゃないの普通。

なんでアイツ安い方安い方に走るんだろうな。

金だってこれからもっと俺稼ぐのに。」


「…で、どうやって仲直りしたんだ?」


「ん?俺はそのままで、律子が一番安い5万のから、本当はこっちが着たかった10万のウエディングドレスに変えるって事でまとまった。」



「…前川はこれからも苦労するなぁ。」


岩城はそれだけ言って、その話は終わった。


前川先輩…。


結婚って色々大変なんだなぁと瑠香は思った。



多分久保井は昔からこんな感じで、前川もそんな久保井にずっと付き合って来て、それでも結婚まで考えたのだ。
それだけ好きなんだろう。
価値観は違うだろうが、それでもなんだかんだ喧嘩したり仲直りしたりで一緒に歩いて行くんだろうなと瑠香は頷いた。



< 138 / 380 >

この作品をシェア

pagetop