眠り姫の唇


「久保井さん。」


「ん?」


瑠香は前を見ながら久保井に喋りかける。



「前川先輩、いつも指輪見て、ふにゃんって幸せそうに笑うんです。先輩すぐに頑張り過ぎちゃうから、大事にしてあげて下さいね。」


「了解!」


そういうと、久保井も幸せそうに笑った。















二人をちょっとした豪邸だろこれっていう煌びやかな家に送っていった後、岩城と瑠香もマンションに帰ってきた。


「はぁー。11時回っちゃいましたね。」


瑠香は今日はシャワーだけにしようとガサゴソ自分の服を漁る。

2週間も出入りしていたら、いつの間にか私物がやたらと増えてしまった。


岩城は冷蔵庫を漁り、ビールを開ける。



「あ、すいません岩城さん。いつも飲みたいのに運転で。」


「いや、こっちも旨いからな。」


そういってビールを喉に押し込んでいく。


「…前川先輩、結婚しちゃうんですね。」


瑠香はソファーにもたれながら息を吐く。


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