眠り姫の唇


瑠香は思った。


どうせ身体を許すなら、絶対寝起き以外にしようと。


やってしまった後に覚えてないなんていわれたら腹が立って仕方がないだろうし。



…そんな事を考えてる時点で、かなりやられているなと瑠香は頭を抱えた。




だって、可愛いのだ。




寝てから程なく聞こえてくるスピーと言う音。


寝起きの不機嫌そうな顔。


自分が作ったご飯を夢中に食べる仕草。


寝癖を直しても後ろの束だけぴょこっと跳ねてる時。


歯を磨いているときの膨れた頬。


勝手に買い物に行こうとした時に、とっさに引き止める寂しがり屋な腕。



いつも厳しい瞳でビシッと決めている男が、何故こうも可愛く見えてしまうのか。



それに、相変わらず岩城は無理強いはしてこない。


甘えるみたいにキスをしてくるだけだ。(ただしかなりアダルト。)


そんな岩城にちょっとだけ安心している。


その安心が、こんな不埒な考えに繋がってしまっているのだが。


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