眠り姫の唇
焼き鯖とご飯とエノキと豆腐の味噌汁、きゅうりのピリ辛浅漬け。
やっぱり、食べたいものを食べるのが一番だと瑠香はきゅうりを頬張りながらニコリと笑う。
岩城もガツガツご飯をかき込みながら、無言で箸を進める。
この人と向かい合って食事をするのは、いったい何回目何だろう。
そんなふうにぼんやりとしながら岩城の顔を見ていると、不意に彼の眉間にシワが寄った。
「ん?どうしたんですか?魚の骨でも刺さりました?」
岩城はもぐもぐ、ごっくんと食べ物を飲み込みながら、言いにくそうに口を開いた。
「お前に言わないといけないことがある。」
え。
何をそんな改まって、と、瑠香も自然と背筋を伸ばした。
「なんです?」
いったい、 話とはなんなんだろう。