眠り姫の唇


片方を指で、片方を舌で攻められて、気が狂いそうな快感が背中を走った。


情けなくなるほど声が漏れて、そしてそれが白い壁に反射して自分の耳にダイレクトに入ってくる。

それが更に恥ずかしくて、瑠香は思い切り自分の腕を噛んだ。


岩城はそれを見逃さず、スッと瑠香の腕を取り、歯型がついている白い肌にツツッ…と舌を滑らせる。


「…傷がいくだろ。」


そういって自分が痛そうに眉を潜めるから、瑠香は目の前のはだけたYシャツにしがみついた。


ふわっと香る、香水の香り。



「…もてあそばれてるのは、私の方です。」



Yシャツを良く見ると、真っ赤なルージュがついていた。


見覚えのある、赤い色。


エレベーターで見た、あの歪んだ唇。


「…今まで、桜子さんと一緒にいたんですか?」


瑠香はつらそうに顔を歪めながら、それを見られまいとYシャツに顔をうずめる。

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