眠り姫の唇
「俺は今まで会社で仕事をしていた。明日の最終確認だ。出張の事だからその場にサクラもいた。このYシャツも、サクラがつまずいてそれをとっさにかばったんだ。その時に付いたんだろう。」
…じゃあ、香水も?
「まさか口紅までついてるとは思わなかったが。だが…、その代わり良い物が見れた。」
そう言って岩城はニヤリと笑った。
「良い物って…なんです?」
瑠香は岩城の胸に埋まりながら、男の顔を見上げる。
その不思議そうな顔に、岩城はチュッと唇を落とした。
「…可愛いな。」
そう言って微笑む岩城に、瑠香は顔をボッと赤くしてカチコチに固まる。
「ヤキモチを妬く瑠香、初めて見た。」
「だ、だから、妬いてません!」
「可愛い。」
「やっ、ヤメテください!岩城さんキャラ違いますよっ」
暴れる瑠香を簡単にベッドに埋めさっきの荒々しさとは打って変わって、ゆっくり、甘く岩城はキスを落とす。
唇、まぶた、おでこ、髪、耳、頬、首。
チュッ、チュッと軽く触れるその感触に、瑠香は瞳をギュッと閉じながら耐えた。