眠り姫の唇
早朝、岩城のアラームで瑠香は目を覚ました。
ダルい身体を無理やり起こして、携帯を開ける。
4時半…。
なんて抜け目のない男だ。
眠りにつく直前に何か携帯をいじっているなと思っていたら、目覚ましの時刻を変更していたのか。
外はまだ暗い。
そっとベッドを出ようと身体に力を入れるが、感じた事のない全身の痛みで呻き声が漏れる。
素肌に心地良く擦れるシーツに、何も身に付けていない事を改めて悟った。
「…起きたのか?」
「あれ…岩城さん。」
隣を見ると、筋肉質な腕を露わにしながら岩城は優しく瑠香を見つめていた。
どうやら既に覚醒モードの岩城に、瑠香は意外そうに声をかける。
「起きてたんですか?…もしかして寝てないんですか?」
岩城は無言で微笑み、瑠香を抱き寄せた。
「痛っ…」
とたんに瑠香の筋肉が悲鳴を上げる。
「…痛むか?」