眠り姫の唇
またぷいっと背中を向ける瑠香の肩に、岩城は唇を寄せてはむはむとついばむ。
回された腕が遠慮なしに前に伸びてきたので瑠香は慌てた。
「い、岩城さんっダメです。今日出張ですよっ。」
「なんの為に早起きしたと思ってるんだ。」
「出張の為ですってば!っ」
岩城の指が好き勝手動くと、瑠香の口から声が出てしまう。
「…そんな声出すなよ。止まらなくなる。」
そう言って瑠香の首にすり寄ると、岩城は白い肌に熱い息を吐いた。
「岩城さんのせいじゃないですか…。…ダメです。飛行機に間に合わないですよ…。」
瑠香はググッと両腕で抵抗する。
「もう少しだけ。な…」
「……。もう……」
ため息を尽きながらも、結局、瑠香は腕の力を抜いた…。