眠り姫の唇






「…はぁ。」


ディスクで瑠香はため息をつく。

痛い。


身体中痛い。


岩城の底無し体力には脱帽する。


こっちは久しぶりだというのに手加減なしだ。


指一本動かすのにもため息が出る。


「(…そろそろロスかな?)」

瑠香は時計を見ながら遠くの彼を思った。


宣言通り早朝からいじめられまくった後、既に前日から準備万端だった岩城は軽くシャワーを浴び、瑠香を自宅まで送り届けた。


どうやら目覚ましの時間を早めたのは瑠香を送る為だったらしい。


「(…変な所で律儀なんだから。)」


しかし家に仕事に行く時のカバン一式を置いてきていたので正直助かった。







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