眠り姫の唇


布団に潜り込みながら瑠香が唯に訪ねた。


「明日の朝、どうする?」


「んー瑠香が出る時に一緒に出る。」


「分かった。じゃあ一緒に起こすよ。…起こしたら起きてよね?」


唯は寝起きが悪い。


「起きるって。あのさ、瑠香…。」


「ん?」


「直接聞いた方がいいよ。さっきの年上の人。そのままづるづる行くとさ、誤解が根っこ張って、信じられなくなる。」


岩城の事か。


唯の声にはパワーがある。真剣に話すと良く耳に届いた。


「…うん。そうする。」


「また受け身なんでしょ。自分から行動するのも大事だよ。せっかく瑠香が人を初めて好きになったのに。」


「初めて?」


意外な発言に瑠香が思わず聞き返す。


「見てたら分かるよ。」


「…そうなのかな。」


「そうだよ。」


そうなのか。


確信めいた唯の言葉に、瑠香はすとんと納得していた。




しばらく無言になった唯に、もう寝たのかなと思っていたら、小さな声が下から聞こえてきた。


「…私さ、プロポーズされたんだ。」


「え?!」





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