眠り姫の唇

いつも見上げるだけだったその端正な顔を、今こうして見下ろしてみるとまた違って見えるから不思議である。

ソファーに座って素足を投げ出し、長身の男が自分にひざまづいて足を触っている。


この人が関わるとすべてがエロく見えてくるから不思議だ。


…鼻、高いな。


睫毛も意外と長い。



「何見てるんだ?」



そういって急に視線を上げるから、困ってしまう。



なんて冷たい、そして熱い瞳。



気がついたら、その頬の傷にそっと手を伸ばしていた。



「いっ…、」



消毒液がやたらと傷に染みて眉をひそめる。



その瞳に捕られられたまま、ゆっくりとその距離を詰め、瑠香はソファーに沈められて行った。


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