眠り姫の唇
そういって、意地悪く口元が歪むから、途端に瑠香から素直さがひょこっと隠れてしまった。
「…違います。ただ寝ぼけてるだけです。」
瑠香が腕をその逞しい胸に付けて、離れようと力を込める。
それを許さず、岩城は片手でがっしり瑠香の身体を抱き、片手で瑠香の髪の中に指を入れながら後頭部を優しく傾けた。
「そうなのか。じゃあこれからは瑠香より早く起きることにする。」
絶対無理だと思います。
その言葉を唇と一緒に塞がれて、瑠香は久しぶりの岩城のキスに芯から酔いしれた…。
散々濃厚なキスを降らせた後、岩城はおもむろに起き上がり、シワシワになったYシャツを脱いでうーんと伸びをする。
「…そういえば、帰国は明日の予定だったのにどうしたんですか?」
キスで火照った身体をどうにか縦にして、綺麗で逞しい肩甲骨に問いかけた。