眠り姫の唇
だから、…少し油断していた。
◆
「高江、ちょっと。」
「高江ー。お願いがあるんだけど…」
「高江ー!相談が…」
…。
最近三國が事ある毎に絡んでくる。
「高…」
「あのさ、最近なんなの?」
無邪気な顔が、ん?と笑顔のまま首を傾げる。
仕事ならまだいいが、しょうもない事でこうも呼び止められると少しイライラしてきた。
瑠香は眉間にシワを寄せたまま三國を見つめる。
「私もそれなりに忙しいんだけど。」
「ふふーん♪」
いつもならそうそうに退散する三國がご機嫌で腰に手を当てる。
「まあ、人助けだと思って♪」
「はぁ?」
全然答えになっていない返答に瑠香はさらにイライラする。
周りに花を散らしながら三國は笑顔でオフィスを後にした。
…いったいなんだと言うのだ。
そんな日が何日か続いたある日。