眠り姫の唇


だから、…少し油断していた。







「高江、ちょっと。」


「高江ー。お願いがあるんだけど…」


「高江ー!相談が…」





…。



最近三國が事ある毎に絡んでくる。



「高…」


「あのさ、最近なんなの?」


無邪気な顔が、ん?と笑顔のまま首を傾げる。


仕事ならまだいいが、しょうもない事でこうも呼び止められると少しイライラしてきた。


瑠香は眉間にシワを寄せたまま三國を見つめる。


「私もそれなりに忙しいんだけど。」


「ふふーん♪」


いつもならそうそうに退散する三國がご機嫌で腰に手を当てる。


「まあ、人助けだと思って♪」


「はぁ?」


全然答えになっていない返答に瑠香はさらにイライラする。


周りに花を散らしながら三國は笑顔でオフィスを後にした。


…いったいなんだと言うのだ。


そんな日が何日か続いたある日。




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