眠り姫の唇
仕事が終わったら、満面の笑みで三國がオフィスの扉の所に立っていた。
「あぁ、三國お疲れさまー。」
挨拶もそこそこに、瑠香は三國を通り過ぎようとする。
「高江、ちょっといい?」
その一言に瑠香は怪訝な顔をした。
笑顔を貼り付けた童顔の男が瑠香の腕を掴む。
「またどこそこの芸能人が可愛いとかいう話なら…」
「違うって!大丈夫!ちょっと付き合って欲しいだけ。」
「ちょっ…何なの?!」
「…それは聞かないで。」
有無を言わさず引っ張っられてエレベーターに乗り込む。
「本当にやめてよ!」
必死に抵抗する瑠香に、三國がすごい勢いで頭を下げた。
「ごめん高江!でも今回が最後らしいから!」
最後…らしい?
何故か嫌な汗が出た。