眠り姫の唇


ベッドでの程よく引き締まった岩城の全身を思い出し、瑠香は納得した。


デスクワークだけでは到底維持できそうにない体格である。



「…今エロい事考えてただろ。」


「なっ…っに言ってるんですかっ。私あっちの機械に行って来ます。」


瑠香は焦りながらいそいそと移動した。


どの道、一番軽いバーすらビクともしなかったのだ。


そこにいる意味がない。


岩城から少し離れてただひたすら走る機械に乗る。


「このボタンかな…?」


実を言うとジムみたいな施設にくるのは初めてだ。


触るぐらいなら一通り体験してみたい。


瑠香はキョロキョロしながらボタンを押した。







………‥






程よく汗をかいた後、瑠香はシャワールームを探していた。


岩城に手渡されていたカードに目をやる。


シャワールーム⑤とかかれたそれをヒラヒラさせながら案外広くて入り組んでいる店内を歩いた。


「あ、あった。」


カードキーをストンと通し、中に入る。


意外と分厚い扉を閉めて中を見渡した。


< 313 / 380 >

この作品をシェア

pagetop