眠り姫の唇

「広ーい。」


とても一人用とは思えない部屋に瑠香は感動する。


化粧台はあるし、寝ころべるスペースはあるし、水分を補給する小さな機械だってある。


しかもどれも新しい。


奥の扉の向こうがどうやらシャワースペースのようだ。


廊下の隅にまとめて置いてあったパンフレットを手に取る。


「へー…、シャワーだけじゃなくて一つ一つ浴槽までついてるんだ…。」

パンフレットに乗っている地図から見ても、シャワースペースが結構大きく使われている事が良く分かった。


「岩城さん…こんなすごい所によく来てたのか…。」


羨ましいにも程がある。


自分も是非ともお友達価格でお願いしたい。


一言岩城に断ってくるつもりだったが、岩城はいつの間にか姿が見えなくなっていたのでそのままここにやってきた。



化粧台の脇を見ると、化粧落としからローション、乳液まで完備されている。


ここは温泉か。


久保井に改めて感心しつつ、瑠香は服を脱ぎ始めた。



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