眠り姫の唇
「っ…、っわきさ…やめっ」
キスの合間で息継ぎするのも精一杯の瑠香に、岩城は寝ぼけたままどんどん深く攻めていく。
糸を引き、唇から耳に移動した岩城はまたそこを舐めたり噛んだり吐息を流し込んだりで瑠香は気を失いそうになった。
「…っ」
特に吐息を感じた時は足の指の先まで電気が走り、もうどうにかなってしまいそうだった。
自分から信じらんない声が出て泣きそうになる。
誰かに間違えられてるうえ、寝ぼけた人にこんな恥ずかしい事されてるなんて。
「ヤダ…お願…て岩城さっ」
「……………ん?」
懇願に近いその声に、やっと岩城は覚醒する。
「……んん?」
「~~~っ!んん?じゃないですよ!」
涙目の女は火照った顔でキッと岩城を睨め付ける。
やっとなんとなく状況を把握した岩城は、少しだけ驚いて「あぁ、」と言った。
「おはよう、瑠香…。」
ほのかに微笑んで、また目を瞑りそうになる岩城を信じられないものでもみるように瑠香は口を開ける。
瑠香って…。