眠り姫の唇
「余裕でするぞ。今回もボディに一発。取り押さえないともっとボカボカ殴るからな。あれが手っ取り早いんだ。」
はぁ。とまた岩城はため息をついてお腹をさすった。
「ちょっと久保井の味方をしたらこれだ。…まぁ、あいつの言い分も、もっともと言えばそうなんだが…。」
瑠香はいつの間にか引っ込んだ涙を軽く拭って、岩城の顔を見た。
バチっと目があい、岩城が意地悪そうな顔をする。
「…で?誰が誰を追っかけたらいいって?」
「…すいませんでした。」
まさかほんとに痛くてあんなに顔を歪ませていたなんて、思わなかった。
瑠香は顔を赤くして、地面を見つめる。
「元はと言えば瑠香が悪いんだぞ。返信がないから7階まで見に行ったんだからな。」
あ、そこでばったり前川にあったのか。
だんだん誤解が解けてきて、瑠香の締め付けられたら胸が解放される。