眠り姫の唇
薄暗いチャペルの長いすに腰掛け、瑠香は天井の高いステンドグラスを見つめた。
キラキラ色とりどりに輝き、光の筋をその空間に通す。
なんとも幻想的で、不思議な光景。
こんなものを見たら、小さな女の子が夢見るのも少しは分かるような気がした。
誓いのキスが行われる。
カタコトの日本語を喋りながら、神父が誓いの言葉を並べた。
それに久保井も前川もおごそかに誓いを立てる。
キラキラ輝くシンプルな指輪を交換し、久保井は前川のベールを上げた。
腰を軽くかがめ、そこから前川のキラキラした顔が現れる。
久保井の見たことのない真剣で幸せそうな表情が印象的だった。
二人はみんなの前で愛を誓うキスをした……。