眠り姫の唇
「アメリカの映画とかで見たことありますよ?何でなんでしょうね。とりあえず良い意味合いがあるんでしょうけど。」
それでもなおも首を傾げる岩城に瑠香はまぁまぁと背中を叩いた。
歓声と共に、チャペルの扉がバンっと開かれる。
皆は思い思いにクラッカーを鳴らしたり、ライスシャワーをぶつけたり、風船を飛ばしたりした。
ライスシャワーから顔をガードしながら、二人とも本当に幸せそうに笑っている。
瑠香は自分も幸福な気持ちになった。
色んな所から飛び交うおめでとうの声、からかうような野次、幸せそうな笑い声、両親のすすり泣く音、それを笑って慰める手。
全部が全部、幸せの塊に見えた。