眠り姫の唇
次々と人の波を声、二人が岩城と瑠香の前までやってきた。
「前川先輩おめでとうございます!すっごい綺麗です!」
ハシャぐ瑠香に前川が照れたように笑う。
久保井と岩城も小突き合いやがら笑顔でじゃれた。
「ありがとうね。高江も今日すっごく可愛いよ。」
「みんなにも前川先輩の今日の写真見せまくりますから。」
「えっ、ほどほどにしてよっ」
アハハハと笑って、二人は前に進む。
前川が岩城の前を通り、ニッコリ微笑んだ。
「綺麗だな。」
「岩城も色々迷惑かけちゃったね。」
「本当にな。…前川、幸せになれよ。」
「ありがとう。」
その優しく微笑む横顔を見ながら、瑠香は思った。
岩城さんにも、幸せになって欲しいな…。
これからも、悲しくて泣くような事がなければいいな…。
いつも笑っていて欲しいな。
この優しい人が、これからは自分の幸せを口に出来るようになればいいな。
瑠香は、呼吸でもするように、血が体を巡るように、自然にそう思った。