眠り姫の唇
素直に頭を垂れる恋人に、岩城はおかしそうに鼻で笑った。
「ふっ。仕方ない奴。…まぁ、でも、俺もお前に一つ謝らなければならない事がある。」
「え?」
意外そうに目を丸くした瑠香に、岩城は少し黙り、間を開けて伝えた。
「初めに、お前に酒を飲ませて、付き合うように仕向けたのは、俺だ。」
「…ええ?!」
すまん。といいつつ全く悪びれた様子がない岩城に、瑠香はただ驚愕する。
「…気がついたら、ちょっとキッチンに消えた隙に、お前ソファーで寝てたんだよ。
…その寝顔みてたら、これでお前との関係も終わりかと色々考えてしまってな…。
気がついたら、口移しで瑠香にウイスキー飲ませてた。
何回か飲ませてる内に、目覚まして、でも瑠香すでに酔っ払ってて、まぁ、適当に話したり、笑ったり。
そうこうしてる隙にお前、服脱ぎ出すし、前川前川って騒ぎ出すし、大変だったんだぞ。」
「…。」
いや、大変だったんだぞ、って。