眠り姫の唇


どう答えていいものか、悩んでいると、しびれを切らしたように岩城が唸った。



「…やっぱりズルい。教えろ。」

岩城はスポンジの水分を切って、手を洗う。


「…ヤですよ。なんでわざわざ弱味握られなきゃなんないんですか。」


瑠香は最後の皿を拭きながら、危機感を感じ取り岩城から一歩離れた。


それを岩城に後ろからガシッと止められる。


「ちょっと岩城さん!危ないんですけど。」

瑠香は皿を必死に握り、白い肩へ顔をうずめてくる岩城に焦りながら訴えた。


それでも岩城は抱き締める力を弱めない。


「教えろ。」


「嫌 で す 。」


「……そうか。」


「…っ!や、ちょっ…っ」



…。



…瑠香が息絶え絶えに答えを吐いたのは、30分後ベッドの上でだった。






…今日も25歳OLの災難は続く。。



【2012.08.12ファンメールにて】

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