眠り姫の唇
「え、なんですか。ハッキリ言って下さい。」
ニヤニヤする岩城にだんだんイライラしてきた瑠香は少し睨み気味に問いただす。
「あんた、昨日の晩、俺の女になるって言ったんだ。」
は?
「初耳です。」
「初耳も何もあんた…、瑠香の口からちゃんと出たんだ。責任は自分にある。」
瑠香は静かに頭を抑えながら目を閉じた。
自分からいった?そんなめちゃくちゃな事を?
「いや、ちょっとマッテクダサイ。話についていけません。なんで昨日の今日でそんな話になってるんですか。もし仮にもお酒の力でそんなアホな事言い出したとしても大人であるあなたは止めるべきです。」
淡々と口は動くが冷や汗は止まらない。
そんな様子の瑠香をやっぱり口の端をクイッと上げて岩城は喋る。
「大人というならあんたも間違いなく大人だ。大人は自分の発言に責任を持つべきじゃあないのか?それに、なんの脈絡もなくそんな話になったんじゃない。」
「?」
瑠香は怪訝そうに首を傾げる。