眠り姫の唇
「さっきからお酒お酒言ってるが、お酒でも飲みましょうと言い出したのもあんただし、先にベロベロになったのもあんただ。どうだ前川の事を忘れられたか、とかあんたに聞かれて…、そんなすぐに忘れられるわけ無いだろうって言うと、急に怒り出して先輩には手を出すなとかうるさくて…。
そしたらお前から提案してきたんだよ。
前川の結婚式までにハッキリきっぱり諦められるように、今は自分にしておけって言い出したの。
…ホントに忘れたのか?」
「………………。」
瑠香はただただお酒の力に驚愕していた。普段の自分ならそんな発言絶対にするはずがない。
…誰かの変わりなんて、自分のプライドが許さない。
「自分の発言には責任を持って貰う。」
あらがうことは一切許されそうにない威圧的な声とともに、グイッと身体を引き寄せられた。
「ちょっ!や、やめてください。」
岩城の身体の上に乗るような形にされ、その瞳に強く見つめられるとただただ逃げだしたくなってしまう。