眠り姫の唇
シンプル過ぎるメールに瑠香は怪訝な顔を隠せない。
何時にあがるか知ったところでなんだというのだ。
しかしまぁ無視する理由もないので返信を送る。
『今日は残業ないんで6時ですけど。』
bbbbbb…
『7時まで丸杉のカフェで時間潰しとけ。』
はぁ?
なんで。
『やです。昨日と同じ服は耐えられないんで早々に帰りたいです。』
bbbbbb…
『それも送ってってやるからとりあえず待っとけ。でないとお前がどんな良い声で鳴くのか、7階の奴らにバラす。』
パタンと携帯を無表情で閉じて、瑠香は青い顔をゴシゴシこすった。
…やっぱり色々失敗したのかもしれない。