眠り姫の唇

せっかくこんなイケメンが隣にいるのだ。

“期間限定”だとしても、楽しむべきではないのだろうか。


とりあえず今日は色々な事は忘れて、岩城さんとのデートを素直に楽しもうと瑠香は思い直した。


「ゴーゴー!」


「…そんなにはしゃぐなよ。」


岩城は呆れ笑いながらも少し車のスピードを上げた。
















キラキラ光る安っぽい世界に、瑠香は瞳を輝かせた。


「岩城さんっ早く行きましょう!」


「待て。服を引っ張るな。伸びる。」


Tシャツの端をぐいぐい引っ張る瑠香の手をパシりと掴み、岩城は歩く。


急に手を握られて、思わずおとなしくなった瑠香に岩城はまたこっそり笑った。


「あ!新しいのいっぱい出てる!」


クレーンゲーム機のガラスに張り付き、今まで見たことの無いぐらいはしゃぐ瑠香を岩城は後ろから見つめる。


まるで子供のお父さんになった気分だ。



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