眠り姫の唇


お兄さんが色々説明してくれていたが、瑠香は目の前の作品に目を奪われてほとんど聞いていなかった。


「…名前まだつけてないんだけど、そうだな。マイリトルキャットっていうのはどう?」


「可愛いですね!」


「今度からその名前で注文してくれたらいいから。」


そういうとタレ目のバーテンダはニッコリ微笑んだ。


「あ、そういえば修一郎さんの大学の時のあだ名知ってる?」

「え、知らないです教えて下さい。」


「お前ら止めろ。」



岩城は、笑顔でグラスに口をつける瑠香にそっと微笑み、出て来た自家製のピザをつまむ。


瑠香もカレイのカルパッチョを箸でつまみながら、三人でたわいもない話に花をさかせた。





















「ノブ、お前を気に入ったみたいだな。」


「そうなんですか?」


ハンドルに手をかけながら岩城はニヤリと笑う。


「ああ、ドリンクに名前をつけさせるなんて相当だ。」


瑠香は少し酔って気持ち良くなった熱い身体を車のガラスにピタッとくっつける。


「え?でもノブさんが自分でつけてましたよ。」


「お前の事だろう。」


“マイリトルキャット”


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