眠り姫の唇


「男でも裸は裸ですってば。」

「何そんなに焦ってるんだ。俺とあんなキスしといて。」


裸ぐらいで。岩城は理解できないとでもいうように瑠香の顔を覗き込む。


その言葉に瑠香はかぁっと赤くなった。


「あれはいつも無理やり岩城さんが!」


「あ゙?俺のキスが好きだっていったくせに。」


「言ってません!」


嫌いではないと言った覚えはあるが、好きなんて岩城本人には一言も言っていない。

瑠香は手首を掴まれたまま、断固として認めなかった。




「いや言った。」


「言ってません。」


「言った。」


「言ってません。」


絶対に認めない瑠香に岩城は鋭い視線を送る。


「言った。」



「言 っ て ま せ ん。」


「…。」



「…。」





「言った。」



「だから言ってませ…んぐっ」


瑠香は喋り終えることなくソファーに押さえつけられ唇を奪われた。



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