眠り姫の唇
怪訝な顔をする瑠香に、困ったように笑いかけ、岩城は瑠香の頭を撫でた。
「とりあえず、俺の独りよがりじゃなくてほっとしてるって事だ。」
ポンポン。
そう言いながら、優しく髪を触られると、瑠香はさっきの緊張からは考えられないぐらいの安心に包まれた。
しばらくそうやってソファーでただゴロゴロと抱き合っていたが、ふと瑠香が疑問に思ったことを口に出す。
「…あの、さっき、…私が“嫌いだ”って言ってたら、岩城さんどうしてたんですか?」
あぁ、と呟き岩城は天井を見る。
「そうだな、とりあえずカーレースのかけで言ってた“一晩中良い声で鳴かせる”って言うのを実行して、
瑠香が白状するまでソレを続けただろうな。」
「…。」
その回答に瑠香はサーッと血の気が引き、素直に喋って良かったと心から思った。
瑠香のその反応を横目でみて、岩城がニヤリと笑う。
「…今からでも、するか?」
「遠慮しておきます!」
そういって瑠香はガバッと岩城の腕から逃げ、お風呂場に直行する。
リビングには岩城のクスクス笑いがいつまでも響いていた。