愛してんで
鈴「今日は、楽しかった。誘ってくれて、本当にありがとう。」
鈴華は、笑って頭を下げた。
柚「公園で、騒いでただけやけどな…」
鈴「でも、今までで一番楽しかった。」
臣「そう言うてくれるのは、嬉しいわ。」
鈴「じゃあ、また今度…」
柚臣「「あのっ…」」
帰ろうと、背中を向けた鈴華に、2人は声を掛け、足を止めた。
柚「今日、誕生日なんやろ…これっ…」
2人は、ゆっくりと小さなプレゼントを出した。
臣「受け取ってくれへんかな?俺ら、鈴華ちゃんの事……」
鈴「ごめんなさいっ!!」
頭を深々と下げた鈴華に、目を丸くする。
足元には、涙が落ちていく。
柚「えっ?何で、泣いてるん?俺ら、何か…」
戸惑う2人の声に、鈴華は首を横に振った。
鈴「…嘘…なんです…誕生日…だって…ほっ…本当に…ごめっ…なさい…私…2人と…一緒にいれま…せん……本当に……ごめんなさい……」
涙声は、だんだんと嗚咽が混じり、伝わりにくい。
2人には、鈴華の気持ちが痛いほど伝わってくる。
最初で最後の、正直な気持ちが。
柚「分かった…ありがとう…楽しかった…」
臣「ありがとう……」
2人は、出したプレゼントを終うと、振り返り歩き出した。
鈴華は、その後ろ姿を見て、うずくまり声を殺して泣いた。