愛してんで


柚臣「「ただいま」」


奏昂綾佳平大隆
「「おかえりー」」

柚臣「「俺ら…」」

奏「なぁ、花火しぃひん?」


柚臣「「はぁっ?!」」


出迎えた奏の提案に、驚き声が上擦る。

大「奏の奴、買い物行ったら花火見つけて、『花火した~い』って、ダダこねやがった。」


昂「ちゅー訳で、食後は季節外れの花火大会やで。付き合えや。」


何も聞かずに、いつも通りの態度が、嬉しかった。


いつもと同じ様に食事して、空が濃い藍色になった時、みんなで庭に出た。


佳「じゃあ、花火大会」


平「スタァァァトッ」


みんな一斉に、手持ちの花火に火を点ける。

色合い豊かな花が、手元で明るく彩る。

奏「めっちゃ綺麗」

柚臣「「おっしゃぁ!いっくでぇ!」」

2人は、手元の花火を昂に向けた。


昂「あぶなっ!何すんねんっ!!」


2人は、庭中を走り回り、みんなを攻撃する。

みんなも、負けじと応戦する。

悲鳴と笑い声が、入り混じる。

とても優しい時間が、そこには溢れていた。


隆「締めは、やっぱり線香花火でしょっ!!」


隆太の手から、みんなに線香花火が配られる。

柚と臣のもとに、みんな集まる。

小さく可憐な花が、9つ咲いた。


柚「…ありがとうな」


臣「でも恋って、ごっつ切ないねんな…線香花火みたいや…」


2人の目に、涙が溢れる。

絞り出す様な声で、泣いた。

奏は、両手を広げて、2人の肩を抱き締める。

2人の笑顔が溢れる様に…



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