愛してんで
奏「さっぶっ!!」
奏は、吹き付ける風の冷たさに、マフラーに顔をうずめて歩いていた。
隆「やっとテストも終わって、あとは冬休みを待つばかりだな。」
吐き出す息は、白く形を留めず消えていく。
奏「隆太は、実家に帰らへんの?」
隆「んっ?奏は、どうすんの?」
奏「帰らんで。おかんから、連絡無いから帰って来ぉへんと思うし…」
隆「そぅなんだ。じゃあ、俺も寮にのーころ。」
隆太は、鼻の頭を赤くしてニカッと笑った。
奏「あかんで。実家に帰りや。」
隆「帰っても暇だし、寮で奏と年越しした方が、楽しいと思うし…」
奏「隆太…」
隆「一緒に、初詣に行こーな。」
奏は、コクリと頷き、笑顔を見せる。
たわいもない話をしながら、寮の門を潜ると、玄関にみんなが立ちすくんでいた。