愛してんで


昂「前に、合コン行く言うたら、めっちゃ寂しい顔しとった。夕飯の時、誰かがいないだけで、時計を気にしとった。何か、引っかかんねん。」


佳「ふーん。俺、全然分かんなかったけど。昂って、よく見てんだな。」


ニヤリッと笑う佳康に、感情が逆撫でさせられる気持ちを、必死に抑えた。


おば「今日な、奏のお兄ちゃんの命日やねん。6年前の今日、交通事故で亡くなったんよ。」


おばちゃんが呟いた言葉に、2人の表情は曇った。


おば「奏の両親は忙しくて、家で子供達と過ごす時間が無いくらいでな。7つ違いのお兄ちゃんが、奏とって存在が大きくて・・・あの頃のあの子には、お兄ちゃんだけやったんやろぅな。」


おばちゃんの言葉1つ1つに、胸がギュゥと痛んだ。



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