愛してんで
おば「あの日は、朝から雨が降っていて、奏は家で1人、お兄ちゃんの帰りを待ってたんよ。お兄ちゃんは、奏の為に急いで帰る途中、信号無視の車に引かれて、即死やったって。悪い事は重なるもんで、突然の停電で電話も使えんくなって、暗闇の雷雨の中、奏は1人ぽっちだったんやて。やっと、お兄ちゃんに会えた時は、白く眠ってる姿やったんやて。」
2人は、指先が冷たくなっていくのを感じていた。
コーヒーを口に運ぶ事なく、おばちゃんの口から紡ぎ出される言葉を、ただただ黙って聞いていた。
心臓の音が、頭に響いて胸が苦しい。