愛してんで


おば「暫くは、毎日の様に泣いとってね。お兄ちゃんの部屋に、ずっと籠りきりになってしまって・・・ここ1・2年で、ようやく笑ってくれる様になったんよ。お兄ちゃんとよく海辺で遊んでたんやて。お兄ちゃんが、海好きでな、命日には墓参りと海に行くんやて。今日も、お兄ちゃんに逢いに行ったんやろなぁ・・・」


おばちゃんが、目頭を抑える。


1粒の涙が、カップの中へ落ちた。


掛ける言葉が、見つからない。


〈可哀想〉


そんな言葉が、陳腐に感じる。


大切な人を失った悲しみは、一言でまとめれるほど、軽くはない。

普段、ふざけてばかりいる佳康も、内容の重さを痛感しているのだろう。


眉間に深い皺が、刻まれていた。




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