愛してんで
奏は、ベンチに座ると、コンビニで買ったオニギリとペットボトルのお茶を出した。
カサカサと包装を開けると、パクッと頬張った。
潮風が、奏の頬をかすめていく。
お兄ちゃんと、海辺で遊んだ記憶を手繰る。
いつも優しい手を思い出す。
「あれっ?奏?何してんの?」
振り返ると、綾が立っていた。
隣には、キレイな女性が立っていた。
奏「綾っ!!ちょっとね・・・そちらは、彼女さん?」
綾「ん?!あぁ、そう。彼女の緒里(いおり)。」
緒里は、ペコリと頭を下げる。
それにつられて、奏も頭を下げた。
綾「緒里、こちら寮のおばちゃんの姪っ子で、奏」
緒里は、綾の服の裾を掴んだ。