愛してんで
おば「さぁ、今日はハリハリ鍋やで。」
テーブルの上には2台の土鍋と、人数分の食材がドカッと乗っている。
柚「うまそうやん~」
それぞれが席に付くと、おばちゃんは食材を鍋の中へ運ぶ。
照れ臭そうに席に付いた奏を、みんなが見つめていた。
奏「みんな…心配掛けて、ごめんなさい。」
涙声で頭を下げると、ポタポタとテーブルに涙が落ちる。
隆「俺らは、奏の側に居るから…お兄さんみたいに居なくならないから…」
隆太の言葉に、奏はウンウンと頷く。
臣「そうやで。これからは何かあったら、ちゃんと言いや。」
昂「いつでも聞いてやるから。」
奏「…うん…ありがとう…。」
おば「さぁ、煮えてきたで。みんな食べよか。」
「「いっただっきま~す。」」
パチンッ
両手を合わせる音が響くと、一斉に箸が伸びる。
奏は、袖口で涙を拭うとニカッと笑って、箸を持つ。
今まで見た中で一番綺麗で、素直な笑顔だった。
寮には、夜遅くまで笑い声が響き、一番騒がしい夜になった。