センセイと一緒【完】
「リストラされて次の仕事もない。このままでは餓死するから盗人になるしかない、けれどまだ思い切れない。そんな感じだと思います」
「ふむ、なるほど」
「でも、そもそもこんな究極の選択をしなければならない時点で、既に人生終わってる感じがしますけどねぇ……」
皮肉げに言った和泉に、教室中から笑いが漏れる。
鈴菜もくすりと笑って和泉を見た。
和泉は頭の回転が速いが、どこか斜に構えたような雰囲気がある。
そこも女子生徒たちにとっては魅力的に映るらしい。
藤代先生もはははと笑いながら黒板に向き直った。
「では、次。この文脈だが……」
藤代先生はチョークで黒板に何やら問題を書いていく。
鈴菜はシャープペンを走らせ、それを書き取っていった。