センセイと一緒【完】
放課後。
今日は歴史研究部の日だ。
鈴菜は荷物を鞄の中に詰めながら、教壇の近くで何やら作業をしている直樹を見た。
どうやら日誌を書いているらしい。
「……」
その顔、声、仕草……
そして鈴菜を見る、爽やかで優しい瞳。
直樹の笑顔を見るたびに鈴菜は胸が締め付けられるような気がする。
まだ、想いを伝える勇気はない。
今は隣の席にいられるだけで幸せだ。
もちろん浜田さんの手前、あまり大っぴらに見たりすることはできない。
けれど、つい……目がいってしまう。
やがて直樹は日誌を閉じて部屋を出て行った。
恐らく生徒会室に行くのだろう。
鈴菜も椅子を立ち、社会科準備室へと向かった。