センセイと一緒【完】
4.砕けた恋心
3時過ぎ。
鈴菜は尚哉とともに歴史研究部で使う資料の確認をしていた。
図書室の第二書庫で資料を探し、机に積んでいく。
前にもここから資料を運んだことを思い出しながら、鈴菜は並べられた本を見た。
今日は世界の文学がテーマのようだ。
「オデュッセイア、千夜一夜物語、マハーバーラタ、ローランの歌……」
どこかで聞いたことがあるようなタイトルの本が並ぶ。
鈴菜は世界史は3年で取ることになっているため、よくわからない。
興味深そうに本を見つめる鈴菜に、尚哉が声をかける。
「森下さん」
「はい」
「今日はこれらの本を全て読むのは難しいかもしれませんね。持っていくのは半分ぐらいにしましょうか?」
「あ、はい」
鈴菜はこくりと頷き、尚哉に渡された本を持ち上げた。
そのまま図書室を出、二人で視聴覚室へと向かう。