センセイと一緒【完】
尚哉が声をかけても、鈴菜はじっと窓の外を見つめている。
その視線の先を見、尚哉は息を飲んだ。
……直樹と黒髪の少女の姿。
そして。
それを見つめ、涙を流している鈴菜。
「……」
状況を理解した尚哉はそっと鈴菜の肩に触れた。
その優しげな瞳に、切ない色が混ざる。
しかし窓の外を見つめている鈴菜に尚哉の表情は見えない。
「……森下さん」
「……っ」
鈴菜は肩に触れる温かさに、はっと我に返った。
……爽やかなシプレーの香り。
尚哉がすぐ傍にいることに気付き、慌てて顔を上げる。
「す、すみませんっ、白崎先生っ」
「大丈夫ですか、森下さん?」
「は、はい……。あ、本っ!」