センセイと一緒【完】



夜。

鈴菜は自室のベッドの上で膝を抱えていた。

涙に濡れた瞳を、膝に押し付ける。


「ちょっとどうしたの、鈴菜?」


いつもと違う妹の様子に、姉の春菜が心配そうに声をかける。

鈴菜は顔を上げ、姉を見た。


「……なんか失恋しましたって顔ね」

「……」


図星だ。

再び涙を滲ませる鈴菜に歩み寄り、春菜はベッド脇の椅子に座った。

春菜は鈴菜とよく似た顔立ちだが、母譲りの丸い目をした鈴菜に比べ、春菜は父譲りの切れ長の目をしている。

その切れ長の目を細め、春菜は口を開いた。


「告白してフラれたの?」

「ううん。告白する前に、彼女がいるってわかって……」


< 109 / 294 >

この作品をシェア

pagetop