センセイと一緒【完】
『でもさ、鈴。……鈴は諦められるの、あいつのこと?』
「和泉?」
『鈴があいつのこと、諦められないってならあたしも協力するよ。鈴は……』
「……ううん、いいの」
鈴菜は言い、首を振った。
和泉の言葉に少し笑って答える。
「笠原君と彼女の間に、割り込むようなことはしたくないから」
『鈴……』
「笠原君を困らせたくないの。だからいいの、もう……」
言いながら声が細くなる。
電話越しに、和泉がはぁと息をついた。
『了解、わかったよ。……続きはまた明日、学校でね?』
「うん、ごめんね、こんな夜遅くに」
『そんなこと気にするんじゃないよ。……じゃあおやすみ、鈴。あんまり考えすぎるんじゃないよ』
ピ、と通話が切れる。
鈴菜は切れた携帯をしばし見つめた後、パタンと閉じた。