センセイと一緒【完】



しかし鈴菜はもう諦めるつもりのようだ。

和泉は鈴菜の言葉を思い出した。


『笠原君と彼女の間に、割り込むようなことはしたくないから』


『笠原君を困らせたくないの』


謙虚さは鈴菜のいい所でもある。

が。

逆に言えば、この程度で諦められるぐらいの想い、とも言える。

本当に好きならば、相手の事情がどうであれ告白ぐらいはするだろう。

そこまで笠原のことを好きというわけでもないらしい。

この先どうなるかはわからないが、少なくとも今のところは諦めるつもりのようだ。

であれば、和泉も下手に動くわけにはいかない。


将来、もし鈴菜に本当に好きな人ができたら。

何を犠牲にしても一緒にいたいと思うぐらいの愛情を向ける相手が出てきたら。

……自分も、何をおいてでも鈴菜に協力するだろう。

和泉はひとつ息をつき、ごろんとベッドに横になった。



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