センセイと一緒【完】
<side.直樹>
教室を出、廊下に出た直樹は掲示板の前に鈴菜がいることに気付いた。
鈴菜は掲示板に張り出された順位表を確認している。
……昔と同じ、その瞳。
しかしその顔がこちらを向き、直樹の姿を見た瞬間――――。
鈴菜はあからさまに視線を逸らした。
この数週間、鈴菜の様子がおかしいことに直樹も気付いていた。
これまでは笑顔を、そしてたまに照れたようなはにかむような表情を向けてくれていたのに、今は直樹の方をあまり見ようともしない。
直樹は眉根を寄せた。
ようやく鈴菜と仲良くなれたのに、このままではこれまでの努力が水の泡となってしまう。
直樹はぐっと手を拳に握りしめた。
鈴菜の隣にいれるのは今月いっぱいだ。
来月にはまた席替えがある。
焦りが、直樹の心に広がっていった……。
<***>